初代理事長 向山満氏を偲んで

2011.2.4
東北の生きもの研究会で発表する向山先生(大崎市にて)

2012.11.18
不慮の事故により逝去

 私自身は野山を歩き風の音を聞くのが好きだし、真夜中の星空を見上げて銀河系の果てに想いを寄せるのも大好きである。ぼんやりとしていると何時の間にか眠ってしまう。こんな時になぜか充実感を味わうのである。宇宙の中の一つの星で物質が集合して私の肉体を形成して、やがて朽ち果ててもとの物質になり、別の集合体の部分に使われるのか。このひとときの仮の形の肉体と、それに付随する精神をいかに活用させるべきか。そこらの生き方は各人各様であって良いし、誰しも規制できるものではない。こんなことを考えると、人間の生命も小さな虫の生命も、または草花にしてもみんな同等の価値を持つ気がする。いや、価値などという人間社会本位のおごりとは無関係に存在しているのではなかろうか。(* 1986 年12 月青森県立三戸高等学校自然科学部機関誌パウロウ二アより抜粋)

越冬するオオセッカ調査

 先週末に、宮城県伊豆沼方面まで行って来ました。発達した低気圧に遭遇した遠征隊は、高速道路から降ろされることになり3時間少しの予定が6時間以上かかって到着する。予定外の大渋滞・・。無事に帰って来たので、まあ良かった(笑)改めて、八戸はいい処ですな〜を実感する。それと・・カーナビ渋滞?を体験。指示を無視するとすんなりと走れる事もあるのかもしれないという?・・珍現象。IT機器恐るべし?使い方次第という事か。

蕪栗沼で調査を終えて八戸へ帰るために記念写真

東日本大震災による津波の影響調査

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による津波被害による影響調査(オオセッカの渡りルートへの津波の影響)を実施した。発生から9ヶ月が経過した現在も被害状況は凄まじい破壊の跡を目の前にすると不幸にもそこにいたであろう犠牲者をおもうといたたまれない感情におそわれた。一同、心からご冥福をお祈りした。12月2日から4日(3日間)宮城県の亘理町鳥の海から名取川河口、石巻市北上川河口と海岸線を北上してみて、ほとんどヨシ原は消失していた。気仙沼、釜石市鵜住居(この場所は偶然にも2年前にオオセッカの越冬調査で訪れていたところ)その変貌ぶりには、言葉がなくなってしまった。

2009年11月20日 東日本大震災前の鵜住居湿地

「仏沼の環境を考える会」を開催しました。

 平成23 年1 月23 日(日)13 時から、三沢市の先人記念館セミナールームにて、「仏沼の環境を考える」というテーマで勉強会が開催され、たくさんの方が参集しました。講師として宮城県から魚道の普及活動に努力されている三塚牧夫さんと「ふゆみずたんぼ」の実践農家の斉藤肇さんにお出で頂き、お話を伺いました。田んぼはたくさんのいのちを育む場所という原点に立った米作りの大切さと楽しさ・難しさを話して頂き、これからの農業の方向性を教えて頂きました。これからは生産第一主義から、消費者のニーズに合わせた安全・安心の農業が市場を広げていくとともに、多様な生き物と共存できる地球環境を維持していくことになること、それがラムサール条約湿地である仏沼を保全していくことにつながること、またそのことで農産物に付加価値が付いて相乗効果が生まれてくるのではないかというアドバイスを頂きました。農産物を含めた貿易関税の自由化が検討される現在、仏沼のまわりで作られる農産物を生産農家だけでなく、行政や地域の関係者が一体となって流通に努力していくことが大事なことを認識する勉強会となりました。

第4回 仏沼シンポジウム

2007年1月21日(日)三沢市公会堂3階会議室で第4回仏沼シンポジウム「まるごとオオセッカ研究発表・オオセッカと仏沼の映像」が行われた。(主催NPO法人おおせっからんど理事長向山満)
講演 オオセッカ研究
  佐藤文男氏(山階鳥類研究所 敬称略)
  東 信行氏(弘前大学 敬称略)
  竹内健悟氏(河川生態学術研究所 敬称略)
  成田 章氏(おおせっからんど 敬称略)
ビデオ上映 仏沼の紹介(おおせっからんど)
会場パネル展示(写真・活動紹介パネル)

仏沼ラムサール条約湿地登録 COP9

 2005年11月10日(木)アフリカのウガンダ共和国カンパラ市で開かれたラムサール条約第9回締約国会議で仏沼が登録されました。(NPOからは向山満理事長が参加した。)
日本国内で数カ所が登録され、各代表団が会議へ多数参加していた様子で、三沢市仏沼からは一人で参加して淋しかった…と理事長談。

第1回 仏沼シンポジウム開催

生態系保全と地域共生を目指してラムサール条約って何?!

 青森県の東側、太平洋に面した小川原湖湖沼群の自然は美しくかつ稀有な存在です。とりわけ仏沼は、幻の鳥オオセッカに代表される多くの稀少動植物が新たな命を育むためのふるさとになっています。仏沼干拓地は、特殊な湿地環境(潟湖干潟)と特殊な農業事情によって生態系が維持されてきました。この命あふれる仏沼を次世代へと受け継ぐためには、多くの知恵と努力が必要です。保護のための学術的な技術は無論のこと、ラムサール条約や国設鳥獣保護区などの政策的な支援、環境保全型農業の普及なども欠かせないと私たちは考えます。私たちはこのシンポジュームを通して、環境保全と地域との共生を実現するための一助となりたいと考えます。

基調講演:「ラムサール条約とは」(湿地のワイズユースについて)

安藤元一先生(東京農業大学助教授・ラムサールセンター副会長)

 平成16年2月7日(土)青森県三沢市公会堂3F会議室にて、第一回仏沼シンポジウムが開催されました。基調講演は「ラムサール条約とは」をテーマに安藤元一氏が琵琶湖や韓国の例をあげて説明がありました。三沢市にも世界に誇れる自然が残されている事を再認識、地元参加120名の市民が熱心に聴講しました。

パネルディスカッション「仏沼とラムサール条約」(生態系保全と地域文化との共生)

コーディネーター奈良典明 氏(弘前大学名誉教授)
パネリスト吉田耕悦 氏(三沢市助役)
千葉準一 氏(JAおいらせ酪農部部会長)
呉地正行 氏(日本雁を保護する会)
有谷昭男 氏(青森県環境パートナーシシップ)

 引き続き、「仏沼とラムサール」というテーマでコーディネータを弘前大学名誉教授 奈良氏を迎え、パネリストに、三沢市助役 吉田氏・おいらせ農協 千葉氏・日本雁を保護する会 呉地氏・青森NPO環境パートナーセンター 有谷氏 が意見交換をして、持続可能な社会・地域の環境保全へ向けた活動へ新しい第一歩となりました。(麦沢)